2012年3月27日火曜日

4月8日(日)「無実のゴビンダさん支援集会」のお知らせ


本誌でもたびたび報道してきた「東電OL殺人事件」のゴビンダ・プラサド・マイナリ氏の再審請求は、いよいよ大詰めを迎えている。
昨年7月以降、検察が隠していた無罪証拠(DNA鑑定等)が次々に明らかになり、事件現場で、ゴビンダ氏ではない何者かが被害者と会っていたことが、動かせない事実として証明されている。
無実のゴビンダさんを支える会は、「もはや、一刻の猶予もなく、再審開始を決定し、ゴビンダさんを釈放すべき時にいたっている」として、以下のように支援集会を開催する。

最終局面を迎えた再審請求の現状について弁護団からの報告を聞くことができ、また同様に再審開始に向けて決定的局面を迎えている袴田事件についても、弁護団からの報告を聞くことができる。

4月8日(日)
午後1時半開場 2時開始~5時終了(予定)
於:JAM金属労働会館(301/302)(渋谷)
参加費:500円
会場地図
http://phonebook.excite.co.jp/M13007/13113/0334637394-001/

プログラム
弁護団報告/新証拠と再審 ゴビンダ弁護団
ゲスト講演/袴田事件と再審 小川秀世弁護士
ゴビンダさん・家族からのメッセージ その他
報告/日本国民救援会の取り組み 救援会中央本部
報告/「支える会」の活動と今後の方針 支える会事務局

主催:無実のゴビンダさんを支える会
http://www.jca.apc.org/govinda/

2012年3月15日木曜日

検察独自鑑定でも、ゴビンダ氏のDNA特定されず


1997年、渋谷区円山町で東京電力の女性社員(当時39歳)が殺害された、いわゆる「東電OL殺人事件」は、無期懲役刑に服しながら再審の申し立てをしているネパール人、ゴビンダ・プラサド・マイナリ氏(45歳)の無実を証明する新事実が次々に明らかになっている。(本ブログ関連記事参照)
事件発生から14年目にして、昨年ようやく検察が開示した新証拠・計84点のDNA鑑定が進む中で、ゴビンダ氏ではない第三の人物XのDNAが、(1)被害者の膣内の精液(2)遺体の側に落ちていた陰毛(3)遺体の体表に付着した唾液(4)被害者のコートの左肩に付着した血痕などから検出され、このXが被害者と最後に事件現場で接触した人物であることが疑いようがなくなっている。

再審請求を審理している東京高裁第4刑事部は、これまでに職権で行った57点の鑑定結果だけで十分と判断し、残り27点は関連性や重要性がより小さいとして、鑑定は行わないことを決定している。しかし検察は、最後に残ったこの27点についても、独自に鑑定を行った。その鑑定結果が3月12日夕刻、弁護団に開示された。
それを受けて、弁護団が13日午後、記者会見を行った。冒頭、石田省三郎(いしだしょうざぶろう)弁護士は、「本日の新聞に相反する内容の記事が出ているため、客観的事実を明らかにするためにこの会見を開いた」と説明。27点の資料(被害者の手や衣服に付着した微物)から「(ゴビンダ氏と)一致するとみられるDNA型が検出された」(共同通信)「ゴビンダ氏や、第三者のものと特定できるDNA型は、いずれも検出されなかった」(時事通信)と、報道内容が錯綜していること対して、正確を期すための会見であることを説明した。
神山啓史(かみやまひろし)弁護士は「一部の資料について、請求人(ゴビンダ氏)のDNA型が一部のローカス(DNAの特定の部位)に混在して検出されている」という事実があるだけである、と説明した。
DNAによって個人識別を行う場合、現在はSTRという検査方法が標準的に行われている。これは、DNAの特定の部位で、塩基配列の繰り返し回数を調べ、それを型として同一人物か他人かを識別するものである。1箇所(1ローカス)だけでは、型のバリエーションは多くなく、他人でも同じ型が出ることも珍しくない。したがって現在は16箇所(15箇所の常染色体及び性染色体)を調べて識別力を幾何級数的に高めることで、正確な異同識別が可能になっている。
今回の検察独自鑑定では、一部のローカスにゴビンダ氏にも存在する型があった、というにすぎない。この型がゴビンダ氏に由来するか明らかではなく、被害者の手や衣服にゴビンダ氏が触れたことがある、という事実とは全くかけ離れている。
現段階では正式な鑑定書も出来上がっておらず、これらのDNA断片資料から有意な結論を引き出すことは不可能であり、弁護団は「検査データを鑑定人がどのように評価するかを待ちたい」と述べて会見を終了した。しかし、異同識別という意味では鑑定不能という結果になる可能性が高いものと考えられ、検察独自鑑定によっても、ゴビンダ氏に由来すると特定できるDNA型は検出されなかった、と結論づけるしかない。
少なくとも「再審請求受刑者とDNA一致」(デイリースポーツ・オンライン)など一部の報道に見られたセンセーショナルな文言には、何の根拠もないことが明らかになった。ネット版では共同通信の配信記事を掲載した東京新聞が、13日夕刊では「受刑者の型、検出せず」と報じるなど、報道にも軌道修正が見られている。
再審について裁判所、弁護団、検察が行っている三者協議は、3月19日に次回が予定されており、この日に審理を終結させ、東京高裁が再審開始か否かを決定するプロセスに進むものと考えられる。

<文責・今井恭平>

2012年3月8日木曜日

「東住吉冤罪事件」で再審開始決定


 95年、大阪東住吉区の民家で火事があり、小学6年生の女の子が焼死した。母親と内縁の夫だった男性が殺人と放火の罪で無期懲役を言い渡され、現在服役中だが、大阪地裁は7日、二人の請求に対し、再審を開始する決定をした。

 再審請求の申し立てをしていたのは、青木惠子さん(48歳)と内縁の夫だった朴龍皓さん(46歳)。二人は、青木さんの長女、めぐみさん(当時11歳)に掛けていた保険金を目当てに自宅の車庫にガソリンを撒いて放火し、入浴中のめぐみさんを殺害したとして無期懲役の判決を受けていた。物証はなく、「7リットルのガソリンを床にまいて火をつけた」などとする朴さんの自白が有罪の決め手になっていた。

 今日の決定で裁判所は、弁護団の行った実験によって「自白通りの方法では朴さんがやけどを負うこともなく外に出ることは不可能である」とした。そして二人の自白は「不自然な点を多く含み、信用できない」として、再審開始を決定した。